1998/1/12・13・14 バリ島にて・・・
暑く、懐かしい島、BALIの日

デンパサールでタラップを降りると、
土と木々からやってくる匂い、
生活する人々やクルマやバイク排気ガスの匂いの
出迎えを受ける。
なぜだか懐かしい思いに惹かれバスに乗る。
道端では若い青年が軽食の屋台を引いている。
クタの町の海岸線を走る道が
ちょうどL字に曲がる手前のホテルに泊まる。
いわゆる、リゾートホテルというやつの
こぢんまりとした宿である。
いちおうプールもある。
ホテルで働く人たちの笑顔と
この宿の前で屋台を引いている青年の真剣な顔が
同じものだと感じとるには、
もう数日、かかることになる。

海に出た。
砂浜にはpepsiと書かれた今にも朽ちそうな木箱に
オレンジジュースを詰め込んで売りに来た少年と
ゴザを丸めて小脇に抱え、右へ左へ歩く女。
湘南にも九十九里にも大洗にもない海に包み込まれる。
オレンジジュースを一本買って飲んだ。
青々とした潮風に吹かれ、透明の瓶を空にかざすと
なんだかこの島に流れている息吹のようなものを
飲み干した気がした。

町に向かう。
ホテルを左に出て、
がたがたと足場の悪い道を歩き
路地を更に左へ向かうと
この町のメインストリートがある。
そこには観光客目当ての店や食堂が軒を連ねていた。
加えて、道沿いには
東京ならすぐに警察官が飛んできて
道路交通法違反か何かで強制退去させられそうな
露天商が並んで僕らをどうにか引き込もうとしている。
その鋭い目は人間関係の希薄な昨今の日本人観光客には
少し怖いくらいかもしれないなと思いながら歩く。


極楽の小島に渡る。
クルーザーに乗って小島に渡った。
そこはリゾート施設も揃っているという
観光小島である。
沖合では澄んだ海で魚たちと出会うために
シュノーケルをくわえて潜るダイバーや
岩礁の手前で立つ波に乗ろうと
パドリングをするサーファー。
ポイントまでは船で運んでくれるのだ。
陸に上がればいつでも食べ放題、飲み放題の食事。
すばらしく極楽だけど、
なぜか物足りなさ、怖さを感じずにいられない。
たぶん、僕の心が満たされすぎてしまうような
気がしたからだろう。
王様って言うのは
こういう気分なのだろうかと思いながら、
バナナを食べた。

僕たちはバリのかけら
少しだけ拾って帰路に就く。
一緒に旅した仲間も様々な思いを拾ったようだ。
露天の三つ編みが得意な女にふっかけられた者、
地元の食事に感激した者、
バリの太陽に突き刺された者。
午前2時にデンパサールを発った夢の船は
大空に舞って東京へ向かった。